血液透析を自宅で

「肌のどす黒い色が消え、ゴルフのスコアがアップした」
 26万5000人いる透析患者の最大の悩みは、病院通いの煩わしさだろう。95%以上の透析患者が、週3回病院に行き、1回4〜5時間の血液透析を余儀なくされている。これが“負担”となって、退職に追い込まれるケースもあるという。

 そこでお勧めしたいのが「在宅血液透析」だ。患者が自宅で血液透析を行う。

「1週間トータルで15時間以上透析」すればOK。毎日なら2〜3時間でもかまわない。患者の生活ペースに合わせて透析ができるので、体調がよく、なかにはフルマラソンを楽しむ患者もいるという。

 花屋を営む山本利光さん(53=仮名)は、15年前に「慢性腎不全」と診断された。すぐに自宅で「腹膜透析」を始めたが、7年後に「腹膜硬化症」を発症。「在宅血液透析」を始めたという。

「医師の勧めでやむなく始めた“在宅血液透析”でしたが、抜群に効果がありました。私は週4日、早朝に3時間半透析を行っていますが、すこぶる体調がいい。透析患者によく見られる肌のどす黒い色が消え、むくみや疲れやすさもなくなりました」(山本さん)

 
 ゴルフのスコアもアップしたという。
「腹膜透析をしていた時は、2リットルの透析液をお腹に入れてスイングしていたので、スコアが悪かった。今は昔と同じ。透析前日はお酒も飲めるし、性格も明るくなりました」(山本さん)

 どうすれば「在宅血液透析」ができるのか?
 まずは「在宅血液透析」を指導してくれる病院を見つけることだ。山本さんの主治医で、現在20人ほどの「在宅血液透析患者」を指導している埼玉医科大学病院腎臓内科の菅原壮一准教授が言う。
「まだ全国で100人くらいしかやっていない“在宅血液透析”を指導してくれる病院は多くありません。在宅血液透析研究会や大学病院などに問い合わせるのがいいでしょう」

 在宅血液透析を始める前に1カ月ほどの“訓練入院”を行う病院もあるが、埼玉医科大学病院では“通い”でOK。週3回の透析時に1〜2時間程度。早ければ3週間、大抵は3カ月で終了。体内に針を刺す穿刺(せんし)や薬剤の交換などのほか、気分が悪くなったときの対応なども学ぶ。

 透析の機械のリース代や薬剤の費用は、健康保険や地方自治体の補助などで賄える。自己負担になるのは、透析に必要な水道代・電気代で、合計月1万5000円くらい。

 ただし、「決められたことを決められた手順で行える患者」でなければ、“医療事故”を起こしかねないので難しい。

 在宅血液透析は病院で行う透析より10年生存率がはるかに高いというデータもある。万一のための介助人がいることも条件になるが、検討の価値ありだ。